救えなかった命

11/11(火)に1本の電話が入りました。
「とても弱っていてボロボロの猫がいるので病院に連れていってあげたい。
 ただ、うちでは保護できないので、私が里親さんをみつけるので、それまで預かって欲しい。
 医療費は出します」

11/13(木)朝9時に捕獲器を持って現場で依頼者さんと合流。
「ご飯をあげても食べません」と仰っていました。

近くのお家の庭でじっと何かに耐えているような姿はボロボロでした。

そのおうちの方に、弱った野良猫を捕獲するために中に入ってよいかの了承を取り
捕獲器を持って猫に近付いても全く逃げる様子もなく
数秒で捕獲器に入ってくれました。
捕獲器の中でも仕込んだご飯を一生懸命食べていました。

すぐに、「のらねこさんの手術室」に連れていき診察してもらった結果
酷い貧血と脱水、腎臓の数値がとても悪く
貧血度合いから「今呼吸していることも不思議な数値」だと言われ、
1日入院させました。

翌日から私の家に連れ帰りました。


野良猫 負傷猫 緊急保護 ねこでこ 川西市

お家でもよくご飯を食べていました。
ただ、ご飯を食べると腎臓機能が追い付かず
命を縮めることになることも覚悟の上で
この子の好きにさせてあげることにしました。
毛玉がうろこのように固まっています。

野良猫 負傷猫 緊急保護 ねこでこ 川西市


撫でるとすぐにゴロゴロ甘えてくれたので
人間と暮らした経験があるのかもしれません。

しばらくは食べて、お水も飲んでいました。
毛玉だらけでにおいもひどかったので、綺麗にしてあげました。

私にはこの子がそんなに長く生きられないという事もわかっていたし
助ける方法もなかった。
しんどい状態で生き長らえさせることも
この子にとってどうなのか?色々考えた末
この子の好きにさせるという選択をしました。

11/17(月)になると、だんだん動かなくなってきました。
ご飯も食べないし、お水もあまり飲まない。
チュールも嫌がる。
もうそろそろだな‥と感じ
夜でしたが、依頼者に「今夜持つかわからない」とお伝えしました。
依頼者さんはすぐに家に来られて
たくさん撫でてあげました。
その日は、この子の隣で寝て
時々起きては、触って「生きてる」を確認するという一晩を過ごしました。

朝8時頃から呼吸が苦しい感じが出てきました。
そろそろだなと思い
「よく頑張ったね!もう十分頑張ったよ!」と声をかけ
ずっと側についていることにしました。
そして、8:45に旅立ちました。

依頼者さんに連絡し、
翌日一緒に斎場にいく事になりました。
私もたくさんのお花とおやつを周りに置いてあげましたが
迎えにいった依頼者さんもたくさんのお花とおやつを持っておられて
たくさんのご飯とお花と一緒にお見送りをしました。

私がずっと「この子」と書いているのは
依頼者さんは「クロちゃん」と呼び
病院のカルテも「クロちゃん」ですが
家ではいろんな名前を変遷して「ボコちゃん」と呼んでいたからです。

私は「いのちの授業」をあちこちでしていて
「たった一つの命を大切にしよう」というお話しをしています。
私にとってボコちゃんは、もっと早くに知っていたら助けられたかもしれない
大切なたった1つの命。

これ以上、助けを求める猫、助けを求める人達が悲しい思いをしないよう
頑張らねばと思った出来事でした。

応援してくださっていた方には感謝しかありません。
ご報告が遅くなってしまい申し訳ありません。
依頼者さんにとって、私自身にとって、私の仲間にとって、ボコちゃんの事が
とても大きな悲しみと悔しさの残る出来事だったので
書くことができるまでに時間が必要でした。

応援してくださった皆様
ありがとうございました。

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